「契約文言」の検討と審議が中心で、紛争または訴訟・出資案件等で外部専門家に頼りがちな実務において、自分の価値を感じられず、もどかしかったため、筑波大学院法学学位プログラムの門を叩きました。1年目は、卒業単位取得に向けて、4日/週、授業を受講し、空いた時間を、「予習・復習」、「課題」と「家族(妻と子)」の時間に充てました。私は、通常どおり仕事に従事していたため、朝起きる時間から寝る時間まで、綿密に計画を建て、無駄な時間を省く工夫をして、勉強に没頭しました。
特に、貴重な経験だったのは、「演習(ゼミ)」と「研究」科目です。通常の授業とは異なり、他業種・有資格者・様々なバックボーンを持つ同級生・先輩・先生に向けて発表し、質疑に応答、議論を交わす双方向の科目です。「会社法演習」、「コーポレートガバナンス演習」と「商事法研究」が、私の興味をさらに促し、以前よりも深みある議論を意識して、自己の研究に打ち込むことができていると実感しています。
もちろん忙しいですが、仕事では味わえない達成感で、とても充実した日々を過ごしています。
谷 勇哉(法学学位プログラム〔博士前期課程〕:令和4年入学)
化学メーカーの製造部で勤務し、業務において知的財産の重要性を日々感じていること、また、学生時代に法律を学んでいたものの、中途半端な勉強で大学を卒業してしまった後悔もあり、コロナによる外出自粛で時間ができたことを好機と捉え、本大学院を受験しました。昨年は全てがオンライン授業で、同級生と交流できる機会も少なかったのですが、科目によっては少人数の授業で、先生や学生間で気軽に質問ができたり、同じ知的財産法を専攻する同級生とはメール等で近況を交換しあったりと、非常に充実した1年でした。会社勤めとの両立で一番の鍵は時間の取り方ですが、レポート作成に当たっては、できる限り自身が専攻する知的財産法に絡めたテーマを設定して、専攻科目の理解を深める工夫を試みました。また、入学後に茨城県に転勤になってしまうという不運もありましたが、大塚図書館から取り寄せた書籍や雑誌の複写を、つくば市の中央図書館や自宅で受け取ることができ、レポート作成や修士論文の執筆においても大変助かっています。現在は、先生より適宜メール等でアドバイスを頂戴しながら修士論文を進めていますが、環境としては特に不自由もなく、充実した大学院生活と感じています。
Y.A.さん(法学学位プログラム〔博士前期課程〕:令和3年入学)
中嶌さやかさん(企業法学専攻:平成28年3月修了)
近年の企業法務部門にあっては、訴訟・係争対応や契約審査・コンプライアンスといった伝統的な領域に留まらず、経営法務・戦略法務といった新しい領域も併せてカバーすることを当然のように求められています。法律専門知識そのものは言うに及ばず、筑波大学大学院での修学を通じて獲得できた「法的思考体系を用いた多角的かつ高度な視点からの問題解決能力」こそ、ビジネスの実務、特に新領域での実務に活用できている最大の収穫物です。
加藤崇司さん(企業法学専攻:平成25年度修了)J. フロントリテイリング株式会社 法務部長(2017年~)
1995年名古屋大学法学部卒業、同年松坂屋(現大丸松坂屋百貨店)入社。2010年司法書士試験合格(未登録)。
筑波大学社会人大学院の最大のメリットは、修士論文の作成を通じて、自らの意見を洗練させることができる環境に出会えることです。専門性の高い丁寧な研究指導も魅力ですが、ゼミでは研究発表等の機会が設けられており、それぞれのフィールドで活躍している社会人との活発な意見交換を通じて、自らの問題意識を納得のいくまで突き詰めて考えるという貴重な経験ができました。これらの研究活動等を通じて、企業をめぐる法律問題について、法的課題を適切に発見し、多角的に検討する力を養うことができたと思います。現在、会社では、金融商品の上場制度の設計等を企画する業務に携わっていますが、海外の金融商品の仕組みについて比較検討を行う機会があります。新しい金融商品を調査するに当たっては、以前とは異なるレベルで、より実践的なアプローチを行うことができ、ビジネスを進める際に、社会人大学院で獲得した力を発揮できており感謝しています。
柴田 崇志さん(企業法学専攻:令和元年度修了)株式会社東京証券取引所 上場推進部
仕事を通し、金融ビジネスには法律が深く関わっていること実感したのが、大学院入学を考えたきっかけです。ここは社会人が集まり学び合っているので、実務経験に基づいたリアルな討論に、教員が学術的な視点で解説していくなど、実務と理論を結びつけながら法的思考を身に着けることができます。修士論文では、暗号資産等のトークンを発行して資金調達を行うイニシャル・コイン・オファリング(ICO)をテーマに我が国の証券規制について考察を行いました。今後も、テクノロジー社会における法律問題など、新しいテーマでの研究を続けていきたいです。
大江彰さん(企業法学専攻:平成30年度修了)筑波大学卒業後、大手都市銀行、ベンチャーキャピタル、コンサルティング会社等を経て、株式会社三菱総合研究所にて主任研究員に。
2019年に企業法学専攻を修了。(現在、同博士後期課程に在学中。)
弁護士業務は、委任事務処理や制度運用に自らの知恵や工夫を活かせるのでやりがいがありますが、あらためて物事の本質や考え方の基本にた立ち返って理解を深めたいと思うようになりました。また、日々遭遇する事件やその時々の立場に囚われずに興味のままに学ぶ対象を広げたいと思ったのが大学院受験のきっかけです。筑波大学の社会人大学院は、その点、弁護士による実務色の強い講義ではなく、理論面を重視した講義を行っています。また大学院が通学に便利な立地にあることも、筑波を選んだ理由の1つです。
高橋良裕さん(企業法学専攻:平成27年度修了)あぽろ法律事務所 弁護士
早稲田大学大学院法学研究科修士課程を修了した後、弁護士として相当期間法律実務を経験。2013年に企業法学専攻に入学。
租税法や会社法等を基礎から学ぶことができるのが、大学院のメリットです。特に筑波は、専門の先生方の講義を直接受けることができ、特別講義も充実しています。そして何より同じ目的に向かう仲間ができることは最大のメリットだと思います。租税法を基礎から学んだこと、判例や法律解釈の力を養うことができたこと、前向きな仲間ができたことが、この大学院でつかんだ一番の財産です。修了後は、クライアントに喜ばれるだけでなく社会に貢献できる実務家となるべく今の努力を続けることこそ重要だと思っています。
山梶由美子さん(企業法学専攻:平成26年度修了)税理士法人K・T・Two 代表社員
税理士・ファイナンシャルプランナーとして大手税理士法人、コンサルティング会社に在職。2013年に企業法学専攻に入学。
現在は、資産税を中心に、上場会社・非上場会社オーナー等の相続対策・事業承継対策等に従事。
司法書士という職業柄、書類作成や手続業務にとらわれてしまうことが多くなってしまっていると感じ、改めて実体法を通じて自らの仕事を見直そうと思ったことが、筑波大学社会人大学院に入学を考えたきっかけでした。当初の目的であった会社法の研究だけでなく、その他の実体法や「法と経済学」といった研究色の濃い分野についても触れることができたのは大きな収穫となりました。これまでの実務の見直しやリスクの発見に加えて、修論や判例研究の発表などによって、実務において必要な「言いたいことを文章にし伝える」という点も鍛えられたのではないかと思います。ゼミ・研究会・修論指導を通じて、筑波大学の教授をはじめ、異業種の方たちと同じ場所で研究に励めたことも、貴重な経験となりました。
岩﨑諭さん(企業法学専攻:令和2年修了)岩﨑司法書士事務所 司法書士
東北大学法学部卒業。
商業登記、不動産登記、成年後見業務を中心に司法書士業務に従事。
應本 昌樹さん企業法コース(博士課程):平成28年3月修了
奥乃真弓さん企業法コース(博士課程):平成30年度修了
「株式等の引受けを行う証券会社は、どのような注意義務を負うのか?」との疑問を抱いて、20代の頃に本学の前期博士課程に入学して修士論文を書きました。当時はマイナーなテーマでしたが、その後に多額の粉飾決算を行っていた会社の株式を引受けて販売した証券会社に対する民事訴訟が提起され、著名な先生方による論文も公表される中で、自身で掘り下げて研究したいと考えて後期博士課程へ再度入学しました。
後期博士課程では、研究と仕事・家庭との両立に苦労しましたが、研究から得られた知見が仕事にも活かせる機会もあり、また研究と仕事・家庭がそれぞれ別のタスクからの気分転換になる面もあって、非常に充実した学生生活を過ごせました。
本学は都心に立地して平日の夜間・休日に講義を受けることができ、研究室も24時間利用できるため、働きながらの通学・研究するには恵まれた環境にあります。また何より、深く広い知見をお持ちの先生方から温かいご支援を頂くことができます。
働きながらの後期博士課程への進学を検討されている方は、ぜひ筑波の扉をたたいてみてください。
戸本幸亮さん企業法コース(博士課程):令和3年度修了